ドイツ人の夫と結婚して、しばらく経ちました。
いま思えば、入籍の手続きで一番悩んだのは「名字をどうするか」だったように思います。
日本では、結婚するとどちらかの姓に統一しなければならないのが法律上のルール。
でも、ずっと私を代表してくれていた私の名字、いざ変えるとなると、どこか心の中に引っかかるものがありました。
「結婚する=名前が変わる」
当たり前のように思っていたけれど、本当にそうなのかな?
家族になることと、同じ名字を名乗ることって、本当にイコールなんだろうか?――
そう考え始めてから、私は初めて「名字を変えない」という選択肢と向き合うことになりました。
この記事では、「日本の姓を変えずにドイツで結婚した私の話」として、
手続きのこと、周囲の反応、そして何より自分の気持ちの変化について書いてみようと思います。
国際結婚。まず、名前のことで悩んだ
日本の結婚観では、「結婚=夫婦同姓」が当たり前、という固定観念がまだまだ拭えないと思います。
私は論文を書いていたときがあったので、ときどき研究職で「旧姓」をそのまま使って執筆している方もいて、「そういう選択肢もあるのか」くらいに思っていました。
その時漠然と、結婚しても自分の名字を変えずに活動したいな、という気持ちはありました。
皆さんの職場にも、旧姓で仕事をしている女性はたくさんいるのかもしれません。
ただ、そういう方でも書類上、日本人同士での結婚であれば手続き上は姓を変えていると思います。
私自身、実際に結婚手続きが近づいて、ふと立ち止まって考えてしまいました。
「名字を変えたくないかもしれない」
私は自分の姓がとても気に入っています。
そこそこ珍しい名字だし、中学・高校では名字があだ名みたいな感じでした。笑
普段は意識していないけど、名前ってアイデンティの一部だったりしますよね。
結婚当初は、日本でもドイツでも自分の姓を名乗る
日本の法律では、戸籍制度のしくみで“夫婦別姓”は選べません。
私自身は、選べないのであれば特に迷いもせずに戸籍を入れていたかもしれません。
国際結婚のケースは少しだけ選択肢があります。
少し調べてみると、国際結婚の場合は日本と外国で別々の姓を名乗ることが認められているケースがあることがわかりました。
つまり、日本では旧姓のままでも結婚が成立し、
外国(今回はドイツ)では配偶者の姓を使う、という運用ができる場合があるのです。
ただ結果的に、私は自分の姓に愛着があったので、結婚した当時は日本でもドイツでも姓を変えず、子どもが産まれたらドイツでの名字も変えようか、ということで落ち着きました。
ちなみに、日本の戸籍上の仕組みでは、
外国人配偶者は戸籍に登録はされず、備考欄に表示されます。
つまり、戸籍の筆頭はわたしになるということ。
ちょっと寂しいですね。
子どもができれば、その下に自分の子どもたちが登録されていく仕組みです。
周囲の反応はいろいろ
わたしが姓を変えなかったことで、周囲の反応はいろいろでした。
日本の家族・友人の反応
まず、私の両親。
父は特に何もって感じだったのですが、母は「なんだか寂しいね~」という感じでした。
大反対ということもなく、ただ「家族の一体感とかないの?」という雰囲気。
それから、一番感じたのは友人の結婚式。
旧姓で参加するのですが、結婚指輪ははめているものだから、
「まだ結婚してない?」「あれ、名字は変えてないの?」
など、久しぶりに会う友人は少し突っ込みづらそうな感じでした。
私も、「ああ、国際結婚だから、ああでこうで、名字はこうして~」と毎回聞かれる度に説明していました。
ドイツの家族・友人の反応
正直、ドイツでは夫婦別姓が特別でも何でもないので、名字はどうしたの?ということも特に聞かれることはありませんでした。
ドイツ人と日本人の国際結婚家庭の友人が何人かいて、そういった友人とは名字の話題になることもしばしば。
ちなみに、ドイツで生活している友人は、ドイツでも日本でもドイツの姓に変えた、という方が私の周りでは多数派です。
日本の戸籍上は、カタカナで名字が登録されることになります。
けっきょくわたしが選んだのは、「日本ではそのまま、ドイツでは夫の姓」
そんなこんなで、日本でもドイツでも一時は夫婦別姓だったのですが、
結果的に、日本では旧姓のまま、ドイツでは夫の姓に統一しました(しているところです)。
その理由は、主に2つあります。
1.子どもと同じ姓で活動したい
私たち家族は、将来的にドイツ移住を検討しています。
子どもが現地の学校に通うことなどを考えると、「母」としては同じ姓を名乗りたいな…と。
というものの、第一子は今のところめちゃめちゃ旦那さんに似ていて、私はお母さんなんだよ!という一抹の寂しさを感じています笑
家族である証を「姓」に求めているわけではないんですが、でも子どもとの一体感がほしい…というのが正直一番の理由です。
子どもができると、それまでのこだわりも一瞬で消えてしまったんですね…。笑
2.子どもに日本の姓を残したい
ただし、日本の「姓」は変えませんでした。
これも子どもが大きな理由です。
日本とドイツ、2つのルーツをもつ娘、わたしには彼女のアイデンティがどう育つのか、どう成長していくのか、まだ見当もつきませんが、いつか日本に留学したいとなったとき、働きたいとなったとき、日本の姓もぜひとも活用してもらいたいな、と思っています。
選択肢だけは、残しておいてあげたいな(ママの名字も素敵だよ、って)。
名前登録で必要だった書類や、実際の申請の様子については、また改めて別記事にまとめようかな~と思います。
3.カタカナの名字ってちょっと大変
あとは、カタカナの名字ってちょっと大変なんですよね。
ネット上で何か予約するときなど、日本の氏名入力欄って、文字数制限がありますよね。
だいたい5文字以内とかだと思うんですけど。
私が夫の名字に変えると6文字になっちゃうんですよね。笑
実際、夫の名義で投函されるガスメーター表など、だれこれ?って感じで途中までしか表記されていないこともしばしば。
名前を変えなかったことで感じたこと
名前を変える、変えない論争は、本当に各個人によって考え方・感じ方が異なるものなので、一概に正解はこれ!と言えないと思います。
私自身が感じたメリット・デメリットは下記の通りです。
- 書類管理の煩雑さ(2つの名前で使い分ける面倒さ)
まずはデメリット。書類管理がとても煩雑になることです。
日本で完結するものは今のところそうでもないのですが、パスポートなど、国際線のチケットはどっちの名前で取ったらいいのかな…なんて、悩んでいるところです。
あとは、日本で夫の姓にすることで、表記がカタカナだったりアルファベットだったり、その書類によって表記方法や文字数が変わることが、小さいことですが何気に面倒だなあと思いました。 - 子どもに日本の姓を残せる
- 結婚=同姓という固定観念に縛られなくてよかったと思えた
これから国際結婚をする誰かへ
国際結婚をすると、言葉や文化の違いだけでなく、制度の違いに向き合う場面も多くなります。
その中でも「名前」はとても個人的なものでありながら、社会的な意味も大きいものです。
夫婦別姓が制度として認められていない日本では、
自分の名前を残すという選択が、周囲から「ちょっと変わってる」と思われることもあるかもしれません。
でも、変えたっていいし、変えなくたっていい。
名前に正解はないですよね。
実際問題、手続きはなんとかなるものだと思うので、自分が納得できるかどうか、「どう名乗りたいか」で選んでいいと思っています。
それぞれの職業や家族のあり方で心地よいあり方を選べば、それで正解かと。
もし今、同じようなことで悩んでいる方がいたら、
この経験がほんの少しでも気持ちを整理するヒントになれば嬉しいです。🍀