ドイツで小児科に断られた話|5ヶ月の赤ちゃんと直面した医療の壁

ドイツで小児科に断られた話。 暮らしと子育て

ドイツでの子育て、一番不安だった「医療」

ドイツでの子育てにあたって、私が一番不安に感じていたのは医療、特に小児科探しでした
言葉の問題、制度の違い、そしてよく聞く
「病院が見つからない」
「新規患者(Neue Patienten)を受け付けていない病院が多い」
という話。

日本にいる頃からそんな情報は耳にしていましたが、正直なところ、
「とはいえ、赤ちゃんがいたら何とかなるでしょう」
と、どこかで思っていた部分もありました。

フランクフルトでの生活が始まったばかりの頃、私はその考えが甘かったことを、思い知らされることになります。

娘がドイツに来たのは生後5ヶ月のとき。
まだまだ小さく、体調の変化も気になる時期です。

だからこそ、
「何かあったときに相談できる小児科があるかどうか」
これは、生活の安心感に直結する問題でした。

義母の助けで受けられたU5健診

ドイツに到着してから、最初に受診したのがU5健診でした。
U5は、生後6〜7ヶ月ごろに行われる健診です。

このU5については、義母があらかじめ予約を取ってくれていました。
しかもその小児科は、夫が子どもの頃に通っていた病院

義母のツテもあって、予約や受付で困ることは一切なく、スムーズに受診することができました。

正直、この時点では
「ドイツの小児科、言われているほど大変じゃないのかも?」
と、少し安心していました。

ドイツのU健診とは?日本との違い

U5健診では、日本とよく似た内容が行われました。

  • 身長・体重の測定
  • 寝返りなどの運動機能のチェック
  • 離乳食や生活リズムについての問診
  • 家庭での言語環境についての質問
  • 日本で受けた予防接種の確認

予防接種は、日本ではまだ受けていなかったものを、太ももにぶすっと。

この日、ドイツの母子手帳(Gelbes Heft)と予防接種手帳(Impfpass)も受け取ることができました。

また、ドイツでは日照量の観点から、赤ちゃん全員にビタミンDの摂取が推奨されており、娘にも処方箋が出ました。
薬局で購入し、毎日飲ませることになります。

「医療面での不安が一つ解消された」
U5を終えたあとは、そんな気持ちでした。

ちなみに、ドイツのU健診(U-Untersuchung)は、内容は日本の乳児健診と似ている部分が多いですが、制度として異なる面もあります。

健診の回数と時期は下記の通りです:

  • U1(出生直後)
  • U2(生後3〜10日)
  • U3(生後4〜5週)
  • U4(生後3〜4ヶ月)
  • U5(生後6〜7ヶ月)
  • U6(生後10〜12ヶ月)

私の娘は生後2ヶ月、4ヶ月を日本で受診し、U5からドイツでスタートしました。

日本では、産後すぐは病院で受診、その後は地域の保健センターなどで集団で受診することが多いかと思いますが、ドイツではU1とU2が出産した病院で、それ以降が個別で小児科受診です。

日本では地域から受診案内が届きますが、ドイツではそれぞれの月齢になったタイミングで個別に予約を入れて、診察をしてもらいます。

ちなみに、日本では予防接種と健診は別で受診する仕組みですが、ドイツでは健診のときに一緒に接種させてくれます。

ドイツでは健康保険に加入していれば(というか、健康保険への加入は全員が義務づけられています)、保険証の提示で健診も予防接種も無料で受けることができます。

「新規患者は受け付けていません」と言われた日

しかし、U5を受診できたというその安心感は長く続きませんでした。

次に控えているのは、U6健診(生後10〜12ヶ月)。

 U5とは違い、U6はフランクフルトで新たに見つける必要があり、知り合いがいない中自分たちで受診先を探す必要がありました

フランクフルトでの生活も少し落ち着いてきた頃、
「そろそろ小児科を決めておかないと」と思い、近所のKinderarztへ。

受付でこう聞きました。

 ー 初めてなんですけど、予約は取れますか?

すると、返ってきたのはとてもあっさりした一言。

 ー 新しい患者さんは受け付けていません。

 …… なんでやねん。

頭では知っていたはずなのに、いざ自分がその場に立つと、言葉を失いました。

 …… 日本なら、断られることはないのに。

と、一抹の寂しさを感じつつ。

それでも食い下がった理由

一瞬、「そうですか」と帰りそうになりました。
でも、次の瞬間、抱っこ紐の中できょとんとしている娘と目が合って

この子に何かあったら?
相談できる場所がなかったら?

そう思ったら、自然と食い気味になっていました。

 ー どこか、ほかに受診できるところはありませんか?

すると、受付のお姉さんが少し考えてから、
「よかったら、ここに電話してみて」と、別の小児科の連絡先を教えてくれました。

冷たい対応だったわけではなく、
「制度上どうにもならない」感じが伝わってきたのが、逆に印象的でした。

紹介された別の小児科で、なんとか予約確保

教えてもらった小児科に電話してみると、
「予約なしでも来られる時間帯がある」タイプの病院のようでした。

ただ、U6についてはきちんと予約を取ってもらえるとのこと。

少し早めの時期ではありましたが、
無事にU6健診の予約を確保することができました。

電話を切ったあと、
本当に久しぶりに、深く息を吐いたのを覚えています。

ドイツの小児科探しで感じたこと

今回、幸運なことに、最初に訪れた病院で断られたものの、別の病院を紹介してもらうことができました。

ただ、もし断られたら、近所の小児科を練り歩く覚悟がありました。
5,6件は断られるかもしれないから、もしだめだったら大きめの病院やUniklinik(大学病院)にも電話で相談してみようか、などと考えてもいました。

正直なところ、
今回予約が取れた小児科が「良い病院かどうか」は、まだ分かりません。

でも、
「子どものことを相談できる場所が一つある」
それだけで、心の負担は大きく減りました。

ドイツでは、小児科はかかりつけ制のような側面が強く、
一度登録できるかどうかが、その後の安心感を大きく左右します。

「病院がある」のと
「いつでも行ける病院がある」のは、まったく別物だと実感しました。

ちなみに、ドイツでは家族でかかりつけ医(Hausarzt)を見つけておくことも重要です。

日本とドイツ、医療の「安心」のかたち

日本では、
「とりあえず近くの小児科に行く」
という選択肢が当たり前にありました。

でもドイツでは、
「そもそも受け入れてもらえるかどうか」から始まります。

その代わり、一度かかりつけになれば、
長期的に同じ医師が子どもの成長を見てくれるという安心感もあります。

どちらが良い・悪いという話ではなく、
安心のつくり方が違うのだと思います。

これからドイツで小児科を探す人へ

これはあくまで、フランクフルトで乳児を育てる中での私個人の体験ですが、
今回の経験から、強く思ったことがあります。

  • 早めに動く
  • 周囲の人(義家族、知人、職場の人)に遠慮せず頼る
  • 断られても、食い下がる勇気を持つ

そして、「断られるのは自分のせいではない」ということ。

これは、本当に大事です。

保育園や住居探しなど、医療だけでなくなにかと”つて”が大切な文化だと感じています。

おわりに|不安の中で、少しずつ慣れていく

ドイツに来てから、
「知らない」「分からない」「思った通りにいかない」ことの連続です。

でもそのたびに、
少しずつ「この国でのやり方」に慣れていく自分もいます。

今回の小児科探しも、そのひとつ。

きっとこれからも、
同じように戸惑ったり、焦ったり、ほっとしたりしながら、
娘と一緒にこの場所での生活を積み重ねていくのだと思います。

この記録が、
これからドイツで子育てを始める誰かの不安を、
ほんの少しでも軽くできたらうれしいです。

まだまだこれからも娘と新しい制度の扉をたたいていくと思うので、その都度更新していきたいと思います。

海外移住の準備については、下記の記事でまとめています。

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